1qトリソミーとは

◇1q部分重複症候群の説明へ

 

「1q部分重複症候群(1q部分トリソミー/テトラソミーにおける)健康ガイドライン」からの引用です。

 

1q重複(トリソミー/テトラソミー)とは?

 

一般的に精子の染色体異常率が約15%、卵子の染色体異常率が約25%、受精卵の染色体異常率は36%前後との報告がある。自然流産に認められる染色体異常にはトリソミー、Xモノソミー、複合異数体、三倍体、四倍体、構造異常、モザイクなどがあるが、約50%が常染色体トリソミー、ついで45,X、三倍体は20%弱を占め、構造異常や四倍体は各々約5%程度となっている。トリソミーの中では、16トリソミーが最も多く、次いで、21, 22トリソミーが10%前後、14, 15トリソミーが7%前後となっている。これに対し、5, 6, 11, 12, 17, 19トリソミーに関してはいずれも1%以下の低率である。1番染色体トリソミーに関しては、流産児での報告そのものがなく、Wattらが1987年に8細胞期胚で1番染色体トリソミーを報告したのが唯一である。非常に生命を維持するのが困難であるということと思われる。ただ、1番染色体の一部分が重複する症例は報告が認められる。1番染色体長腕の一部分が重複しているもの(1q部分トリソミー・1q部分テトラソミー)は、その重複部位によって、症状も異なることが想定される。文献的には下記に示すようにいくつか報告が認められる(図4.文献より)。多くは、不均衡転座による1q部分重複であり、他のある染色体の部分欠失も合併していることから、下記の臨床症状が全て1q部分重複に起因しているかどうかは良く分からないところもある。

(1) Watt JL, Templeton AA, Messinis I, Bell L, Cunningham P, Duncan RO: Trisomy 1 in an eight cell human pre-embryo. J Med Genet 24(1): 60-4, 1987.

 

 

【1st仮刷り】1411202-1q部分重複ガイドライン