≪平成29年度 遺伝・染色体のこと 知って話して理解し合う交流会について≫
第3回 佐賀遺伝交流会のレポート
2018年2月12日 佐賀新聞 朝刊に交流会当日の記事が掲載されました。
※ネット記事はこちら↓↓
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/180606
2018年1月16日情報更新
※2018年1月14日 佐賀新聞朝刊の告知版に掲載していただきました。
※「第3回交流会」開催の開催案内はこちらから!
2018年2月4日にNHO佐賀病院にて、佐賀県内・県外の患者ご家族(染色体や遺伝子に変化のあるお子さんとそのご家族など)と、その支援に携わる関係機関の皆さま(医療、行政、保健・福祉、教育、学生、支援者など)、さらにはこの会の運営や保育、医療支援ボランティアの皆さまにお集まりいただき 「第3回佐賀遺伝交流会」を無事開催することができました。(今年度事業の交流会はすべて終了いたしました。)
開催日時:2018年2月4日(日)13:00~16:00
開催場所:独立行政法人 国立病院機構(NHO)佐賀病院4階研修大ホール(佐賀市日の出一丁目20−1)
開催テーマ:なるほど!そうだったんだ!相互理解を深めよう
①経緯
こちらより!
②交流会内容
当初予想していた60名の参加人数を大きく上回る総勢92名の方々にご参加いただきました。(当日の大雪の影響でご参加できなかった皆さまには、お会いすることができず本当に残念です。またお会いできる日を楽しみにしています)
今回は過去2回の交流会(唐津交流会、佐賀交流会)の経験より「相互理解」を大きなテーマとして設定しました。それは、やはりなかなか状況をつかむことが難しい「遺伝・染色体(疾患、患者家族など)」について理解し合う為には、患者家族からの一方通行の「理解してほしい!」を伝えることも大切ですが、関係者(医療、行政、保健・福祉、教育、地域の方)の立場やそれぞれが抱える壁をお互いに理解しながら、一緒に考えることが本質的に重要ではないか?と、これまでの活動を通して感じていたからです。
具体的にどういった内容にすべきか・・・???
実は半年前より佐賀大学小児科の松尾宗明教授、田代克弥准教授に協力をあおぎ、お忙しいなか何回も打ち合わせの時間をいただきながら、具体的な内容を一緒に考えて、修正して、考えてを繰り返しながら具現化させていただきました。本当にありがとうございました。
〇第1部:パネルディスカッション(主治医と患者家族)
〇第2部:ワークショップ(参加者みんなで理解し合う)
どちらも、ファシリテーターを立てて限られた時間を有効に使い、また立場の違う参加者皆さまが、それぞれの立場で意見を言いやすい環境整備や進行方法に事前準備よりご協力いただきました。
今回ファシリテーターとしてご協力いただきました、佐賀未来創造基金の山本みずほさま、佐賀ファシリテーション・カフェ(SFC)の矢冨明徳さま、高柳貴子さま、長尾郁子さま、鈴木智惠子さまに心から感謝です。(ファシリテーターという人財は様々な課題を解決するために必要な資源だとあらためて感じました。またご協力をお願いできれば幸いです)
③参加者の概要
【内訳(92名)】
🔲患者家族=12家族32名(疾患名:1q部分重複症候群、2pモノソミー症候群、4p-症候群、ダウン症候群、KAT6A異常症、先天性脊椎骨端異形成症、精神運動発達遅滞、脊髄性筋萎縮症1型[SMA1型]、ライソゾーム病など)。
🔲医療関係者=18名(佐賀大学医学部小児科 松尾宗明先生、田代克弥先生。みさかえの園 総合発達医療福祉センター むつみの家 近藤達郎先生、ほか1名。福岡市こども病院 岡田純一郎先生。NHO佐賀病院 高柳俊光先生、江頭政和先生、ほか4名。長崎大学医学部 渡辺聡先生、森藤香奈子先生、ほか1名。佐賀県訪問看護ステーション 2名。ほか2名)
🔲行政関係者(保健・福祉・難病)=4名(佐賀県こども家庭課、佐賀県健康増進課、佐賀市中部保健福祉事務所、鳥栖市保健福祉事務所)
🔲難病・福祉・教育関係者=4名(佐賀県難病相談支援センター、難病サポートあゆむ、一般社団法人あまね、佐賀県立金立特別支援学校)
🔲ボランティア=20名(佐賀女子短期大学、佐賀県立総合看護学院、佐賀女子短期大学付属ふたばこども園、佐賀西高等学校、佐賀大学病院、Bright Future Saga、佐賀県こども家庭課など)
🔲ファシリテーター=3名(佐賀ファシリテーション・カフェ SFC)
🔲事務局=9名(ひとやすみの会、難病サポーターズクラブ、なんともの会、佐賀未来創造基金、Bright Future Saga)
🔲メディア2名(佐賀新聞社、共同通信社(大阪))
【参加者のお住まい】
●佐賀県内=佐賀市(58名)、伊万里市(1名)、鳥栖市(2名)、小城市(2名)、武雄市(3名)、唐津市(8名)、鹿島市(1名)
●佐賀県外=長崎市(4名)、諫早市(2名)、西彼杵郡(4名)、福岡市(1名)、玉名郡(1名)、山口県(4名)、大阪府(1名)
【参加回数】
●3回目(全部参加)=13名
●2回目(過去1回参加)=21名
●1回目(はじめて参加)=58名
※掲載写真は参加者(ご家族)全員の許可を得て掲載しています。一部個人情報保護の配慮が必要な個所のみ画像を加工して掲載しています。
③準備
前日より雪が降り積もる悪天候のなか、事務局運営に携わっていただいたいつもの応援団の皆さま^^には、事前準備からご協力をいただき、当日は朝9時半にお集まりいただきました。また運営ボランティアの皆さまには朝10時にお集まりいただきました。前回に続き2回目のボランティア参加の学生さんもいらっしゃって和やかな雰囲気で準備に取り掛かることができました。運営に関わっていただいた皆さまのおかげで、この会は円滑に、また事故やけがなどなく安全に、進行することができました。本当にありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
④開会
予定通り13時よりはじめることができました。雪の影響で予定参加数も大きく下回るものと考えていましたが・・・。最終的にそれ以上の参加者数となりました!大雪のなか一度は断念して引き返したけれども、再度高速を使って佐賀までおいでになられたご家族もいらっしゃいます。また前泊してお越しになった方もいらっしゃいます。皆さまの想いに感謝感謝です!
⑤第1部
第1部で具体的な患者家族と関わってきた主治医の本音や悩みなど
「実はあのとき・・・と思っていた」
という正直な思いをお互いに理解し合うパネルディスカッションを企画しました。第1部の位置づけは、第2部に繋げるための弾みにすることです。当初は2~3家族にスポットをあてたもの、そして多様な参加者の立場に合わせて、主治医だけではなく看護師やリハビリ、療育の先生にも登壇していただければと考えていましたが・・・。やはり事前調整などの時間を考えると、範囲を絞る必要がありますので、今回の『幸家(1q部分重複症候群)と主治医の意見交換会』に落ち着いた次第です。その中でも、遺伝に関する主治医として、みさかえの園むつみの家の近藤達郎先生や、NICU時期の主治医として、福岡市立こども病院(元久留米大学病院)の岡田純一郎先生にもご協力をいただき第1部の内容をより深いものにするようご協力をいただきました。(ちなみに岡田先生とは6年ぶりの再会で、息子の成長も見ていただくことができました。)両先生方におかれましても、事前の打ち合わせから当日の資料提供などに関しましてもご快諾いただき本当にありがとうございました。
パネルディスカッションの最後に、近藤先生より「臨床遺伝専門医の医療・診断へのアプローチの具体的な方法」についてご説明いただきました。「なるほど!」という内容が盛りだくさんで、このようなお話しをもっと多くの方々へも理解してほしいと素直に感じました。いつもありがとうございます。
◇みさかえの園 むつみの家 近藤達郎先生の配布資料(臨床遺伝の立場より)
また松尾先生からは、もっと広い視点で「子供の障害について様々なケースがあること」をご説明いただきました。最後に松尾先生から「(遺伝・染色体に関わらず)障害をもった子供や家族の支援にとって、医療・福祉・教育など様々な関係機関との連携が何よりも重要」で「全体(医療・福祉・生活・将来など)を見渡し情報をつなぐ人材が必要」だということを、これまで佐賀県内の小児医療の第一線に立ってこられたご経験よりお話しいただきました。本当にありがとうございました。
◇佐賀大学小児科 松尾宗明先生の配布資料(子供の障害について)
⑥休憩
参加者皆さま、立場を超えてお話しになられているのが印象的でした!
⑦第2部
患者家族、医療、行政、教育、支援機関の方々とファシリテーター1名を加えた8~9名× 5グループに分かれて、「誰もが 幸せになれる 優しい社会」を実現するためにはというお題と共通ルールのみ共有してそれぞれのグループでディスカッションが進んでいきました。
それぞれのグループで進み方や話題や雰囲気が全然違っていたのが印象的でした。 でも、本来は参加者皆さまの立場や環境や困りごとなどそれぞれ違って、多様なのでそれは当然のことと感じながら一歩引いてみることができました。 ファシリテーターの皆さまには開催直前にお打合せさせていただくことになり、大変ご迷惑をおかけすることになりました。難しいテーマにも関わらずきちんと皆さまの考えや声なき声を拾っていただき感謝しています。本当にお疲れ様でした!
最後にグループごとの発表をして、参加者全員で共有させていただきました。
短い時間でしたが、参加者皆さまが一体となった瞬間でした^^
⑧閉会
3時間あっという間に過ぎて行った印象でした。
最後に今回の交流会開催にあたり、多方面でご支援・ご協力をいただいましたNHO佐賀病院の高柳俊光先生(NICU)よりご感想をいただきました。
高柳先生のことばで強く印象に残っているのは
「ここにお集まりの皆さんはとても幸せなんだと思います」
という言葉でした。新生児医療の現場では、病名の告知の際に受け止められないご家族もおられ、家族の絆が切れてしまうケースもあるということでした。そしてそこに携わる医療者も葛藤に悩みながら毎日命と向き合っておられるということも。遺伝性疾患もそうですが「根本的には治らないもの」に対してどう向き合っていくのか?は共通することであり、それを受け止める(向き合う)ための手助けになるような活動を家族会としても考える必要があるのだとあらためて感じました。
本交流会開催にあたりNHO佐賀病院 地域医療連携室 嘉村真理子 副看護師長はじめ多くのスタッフの皆さまに事前準備の段階よりご協力をいただきました。当日も様々な要望にお答えいただき、とても良い会を開催することができました。本当にありがとうございました。
⑨保育
多くの学生の皆さま(高校生を含む)や医療・福祉・保育に関わるお仕事をされておられる方々にご協力いただき、無事安全に終わることができました。また今回は保育・運営・医療ボランティアリーダーを明確にしたことで、前回より確実にボランティアさんも活動に集中できたのではないでしょうか?
あらためまして、運営ボランティアリーダーの前田真理子さま(佐賀未来創造基金)、保育ボランティアリーダーの小柳みどりさま(佐賀大学病院)、医療ボランティアリーダーの鈴木智惠子さま(Bright Future Saga)、そして運営全般にいつもご支援ご協力いただいています日浦初美さん(難病サポーターズクラブ)、前間美紀さん(なんともの会)に心より感謝申し上げます。
ボランティアの皆さまがいなければ、このようなイベントを開催すること自体できません。本当にありがとうございました。(またお会いできることを楽しみにしています^^)
特に保育に関わってくださった皆さまが、遺伝性疾患をもった子どもや、そのきょうだい児と直接触れ合うなかで抱いた感想や思いは、このような子供たち(さまざまなハンデを持つ子供たち)が健やかに偏見なく生きていくため(一般社会と共生していくため)に一番重要なコトを感じていただいたのではないかと思っています。是非、今回の経験を周囲のご友人や職場の方々にお伝えいただければ幸いです。
さいごに・・・
今回の3回の交流会を通して、毎回企画する際にぶれずに考えた共通キーワードは「先ずは集まりましょう」「みんなで一緒に」「相互理解」でした。毎回何人参加するのか?どんな雰囲気になるのか?ゴールはどこか?と不安だらけでしたが、先生方や事務局の皆さまにはいつも支えていただきました。また佐賀県庁のこども家庭課や健康増進課の皆さまには当初より多方面でご支援いただき感謝しております。そして県内5管轄の保健福祉事務所の保健師の皆さまにも、対象となるご家族へ直接ご案内いただいたり、交流会当日のご支援もいただきまして本当にありがとうございました。
また一緒に考えていただければ幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。そして本当にお疲れ様でした。
⑩記念写真
次の一歩につながる笑顔となるように!